理学療法士は絶対に研究をするべき?実際に研究して学会発表してみた。  

みなさんご存知の通り、近年、リハビリ業界は、エビデンスの構築に向けて日々、たくさんのリハ関連職の方々が研究業務をされています。

そしてわたくし、シロマツは、先日やっと学会発表を終えました!

長かった!ほんと長かった!!!無事終わってホッとしています。

何となくではじめた研究だけど、ためになった!

んん?でも本当にためになったの?どこか?どういう風に?何に活かせるの?具体的には?

と、自分の考えをまとめてないので、今回は、自分の考えをまとめて、研究をまだしていない臨床で働く療法士様向けに、私の経験談を交えてお話しさせて頂きます。

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私が研究をしてみようと思ったキッカケ

上司から、研究してみる?と、気軽に誘われて始めて見ました。

バイタリティ溢れる理学療法士なら、自ら既に研究やってるんでしょうけども、私は消極的な方で、人から勧められたら「・・・まぁやれと言われたら、やりますけど・・・」みたいな感じでした。

でもやっぱり理学療法士たるもの、1回くらいは学会発表してみるべきだ!!!と思い、上司の誘いを断らずにとりあえず「研究から学会発表の一連の流れを経験してみる」という目標でやってみますと返事をしました。

私が研究で使用した時間

研究は世界初の要素がなければなりません。

自分がやってみたい!と思った研究が、既に行われていては、発表できません。

まずはやってみたい研究分野の全体を把握するために、論文をたらふく読むことから始まります。

もちろん英語の論文も。

私はその分野の関連した英語論文を、合計20本くらいは翻訳しました。

研究をされている人からしたら、「いやいや、そんなの当たり前じゃん!むしろ少ないよ!」と言われるかもしれません。

私は学生時代、英語が大嫌いでして、恥ずかしながら赤点ばっかり…

英語が大嫌いな私からしたら、論文を翻訳することなんて本当にありえないことです。研究の中でこれが一番しんどかったなぁ・・・

そんな中で習得した、楽に英語論文を翻訳する方法などを記事にまとめているので、ご興味ある方はどうぞ。

関連記事>>英語が読めなくてもできる!療法士のための医学英語論文の読み方!

臨床での疑問からたくさんの論文の目を通して、自分の研究テーマの

  • 新規性・・・世界で初めての要素を持っているか?
  • 有用性・・・何の役に立つのか?
  • 信頼性・・・その研究に信頼性はあるのか?

を吟味して、決定していきます。

そして、仮説を立てたり、実験データをまとめて、統計処理して、抄録を作り、プレゼン資料を作り、発表練習、質疑応答練習をし・・・

私は初めての研究業務で、非常に要領が悪いということもあり、使用した時間は、パッと単純計算で研究に使った時間は約500時間です。

本来、臨床が本来の仕事なのですが、臨床が終わってからが本当仕事の始まりみたいに錯覚しちゃいます。

でも、そこはプロですから、臨床・研究と両方手を抜かずにやってましたけどね!

研究の指導に関しては、研究の分野では一流の上司から指導を貰っていました。

だからこそ、一切の妥協はなしで、私が研究の全体の流れを学びたいという希望に応えてくれました。

容量の良い人なら良いのでしょうけど、私は初めての研究だったということもあり、たくさんの時間が必要でした・・・

やってみてどうだった?

一言で言うと、めちゃくちゃ成長しました。

私はこの研究をしたところで一銭も儲けられませんが

私の人生において100万円の価値は十分にあったと思います。

それで、わたくしシロマツが感じた療法士が研究をするメリット・デメリットをまとめてみました。

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療法士が研究するメリット

  • キャリアアップにつながり、履歴書にかける。
  • 勉強熱心だと思われ、組織の中で出世する可能性が高くなる。
  • 臨床思考過程が強くなる。
  • 学会にいっても、研究内容や過程がスッと理解ができる。

この4つです。

履歴書に書ける

履歴書に書けることで、研究を一通り経験している熱心な療法士として見られます。研究が盛んに行われている職場では、良いアピールポイントとなるでしょう。

研究発表は一生の実績となるんです。

出世に繋がる

研究をしている療法士=非常に勉強熱心でその分野ではスペシャリスト。というイメージがつきます。もし、あなたが発言力や影響力もあり、研究業務も行っているとしたら、確実にその組織の中で一目置かれる存在になり、出世し易くなるでしょう。

臨床思考過程が強くなる。

臨床は、評価→仮説を立てる→︎治療︎→再評価を繰り返します。

研究も臨床とよく似ています。研究に関してはより厳密に、科学性をもって答えを探し出さなくてはいけないので、深く考える力が養われます。

研究は科学です。そして、科学の対義語は宗教です。

宗教は信じる学問、科学は疑う学問です。

研究は様々なことを疑って、思考を繰り返すため、考える力、真実を見抜く力が養え、確実に臨床力はアップします。

学会に行っても、研究内容がスッと理解ができる。

学会発表を経験することによって、発表内容だけではなく、

  • 研究の注目すべきポイント
  • 発表者の資料の出来栄え
  • プレゼン方法

などを研究する側の視点で見ることができ、学ぶことができます。

 メリットまとめ

  • ものごとの考える力や伝える力をしっかりつけたい。
  • 研究をしてキャリアを作って出世したい。
  • その分野でスペシャリストになりたい。

という方におすすめします。

デメリット

  • 膨大な時間が消費される
  • 中途半端じゃお金には繋がらない

まさしくこの二つです。

膨大な時間が消費される。

もうすでに研究慣れしている人であれば、良いですが、初めから研究を学ぶのは、めちゃくちゃ時間がかかります。

中途半端なものでも出して学会発表すれば、周りから大バッシングでしょう。

年々、リハビリテーション分野では、新規性を持った研究が年に何百と投稿されています。

それらと被らずに、新規性を持った研究をするのは、中々の難易度でしょう。

特殊な評価用具や治療用具があれば、カンタンに新規性は獲得できそうですが、何も道具がない状態で研究するのは、結構な労力が必要です。

だからこそ、しっかりとした研究を行うために、時間を掛けて学習し、研究テーマを決定する時間が必要です。

中には職場自体が研究をバックアップしてくれて、空き時間を設けてくれるところもあると思いますが、ほとんどの理学療法士は、臨床の合間を縫って、研究業務をしています。

臨床が終われば研究業務の始まりです。

私の場合、大体1日が終わるのは、大体21~22時などでした。遅くて0時になることも・・・

それが一定期間続けば膨大な時間を消費します。当然、家族や大事な人と過ごす時間も失われます。

そのため、しっかりとしたタイムマネジメントが必要です。

私はできませんでした(笑)

ただただ、目的もなく、何となく研究やってみたい。という方は、一度よく考えてから臨むようにした方が良いと思います。

しかし、あなたが、研究の指導がもらえる環境にいて、尚且つ、独身でたくさんの時間がある。という場合は、強くおすすめします。

やってみて絶対に損はないでしょう。

お金に繋がらない。

私たちは研究をすることによって、お給料が発生するのではなくて、リハビリをしてお給料が発生します。

当然、大学の教授や、研究専門職の方であれば話は別ですが。。。

年収が低く、お金にならない研究を、毎日夜遅く、土日も行っていると

奥さんから『そんなのする暇あったら非常勤で働いてきて!!!

と言われるのも無理はないです。

幸い、私の奥さんは仕事に関する理解や応援があって、そのようなことは言われていませんが、一般的な家庭ではそう言われても無理はないと思います。

中途半端な研究ではお金に繋がらないですが、その道の第一人者になると話は別です。本を書いたり、勉強会の講師などで稼ぐこともできます。大学職員・大学院生など、ある程度、研究に没頭できる環境が整えられている場合は、有利でしょう。

しかし、臨床業務に追われている一般的な理学療法士であれば、時間的にも環境的にも難しい方が多いと思います。

なので、自ら研究に没頭できる環境を作り出すことが必要となります。

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研究を極めた人にしか見えない景色

 私は研究の全てを知っているわけではありませんが、研究を続けたらどうなるんだろうと日々考えることがあります。

有名な画像があります。

これは読んだ本の数=知識によって見える景色が違うという風刺画です。

本を読む=研究 に置き換えて、話をすると

  • 一番左の人は、研究をしていない人。
  • 真ん中の人は一通り研究をした人。
  • 一番右の人はたくさんの研究をした人。

きっと私は、この画像でいうと、真ん中の人にも及ばないくらいの人でしょう。

この研究を積み上げていけば、お金では買えない素晴らしい景色が見えるはずです。

研究を重ねていくうちに同じような仲間が増えて

最終的に多くの患者のためになり

ヒトの役に立つ。

きっと、この研究しててよかった。生きててよかったと思う日が必ず来ると思うのです。

そして理学療法士として幸せになるには、臨床+研究に励み、一番右の人に近づくのが理想でしょう。

しかし、私は家族や生活を優先したいので、真ん中の人のままでいることにします。

私にとって、家族と過ごす時間が何よりの贅沢であり、至福のときです。

研究に励まれる素晴らしい理学療法士もいますが、私のような理学療法士もいても良いと思います。

研究は、それぞれのライフプラン・キャリアプランに合うように行うべきです。

まとめ

療法士が研究を行うことに対しての私見をまとめました。

  • 膨大な時間を使うので、一度経験してみたいという療法士は時間に余裕がある独身時代に行うべき。
  • 漠然と研究をするのではなく、自身の将来のキャリアをしっかりと考えて行うべき。
  • 研究で得た知識・成長は、お金では買えない素晴らしい価値がある。

研究は、ヒトの役に立つ素晴らしいことです。

もし、あなたが研究ができる環境にいるなら1度経験してみるべきです!

シロマツ
最後までお読みいただきありがとうございました!
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