みなさんは、動作分析を行う際、まず何から見るでしょうか?
関節角度、重心、目線、足元・・・たくさん見る箇所があって困りますよね。
ですが、実用性の要素を理解することによって、複雑な動作分析もシンプルに捉えることができます。
今回は、リハビリでの動作分析や症例発表において必須の考え方である「実用性」について解説していきます。
目次
覚えておこう!実用性5つの要素
動作における実用性は、
- 安全性
- 安定性
- 耐久性
- 速度性
- 社会性
の5つにより、構築されています。
日常生活の動作でどれか一つでもかけてしまうと、何らかの介助が必要になります。
なので、動作を評価する際は、それぞれの要素が欠如していないか?を評価しましょう。
安全性
動作が安全に遂行できているのかを見ます。
例:100mを10秒で駆け抜けたとしても、途中で転んでいたら、安全性があるとは言えない。
安定性
動作が毎回安定して遂行できているのかを見ます。
例:昼は安全に歩けるが、夜にふらついて転倒していては、動作の安定性があるとは言えない。
耐久性
動作に耐久性があるのかを見ます。
例:どれだけ安全に歩けても、10mで疲れて、歩けなければ、耐久性があるとは言えない。
速度性
動作に速度性があるのかを見ます。
例:近所のコンビニまで50m程度なのに2時間も掛かっていれば、速度性があるとは言えない。
社会性
動作に社会性があるのかを見ます。
例えば、ハトのように頭をすごく揺らしながらでしか歩けない人がいるとしたら・・・
少し怖くて近づけないですよね。これは、社会性が低下している。といえます。
でも、その人自身がその動作を容認して、社会全体がその人が持つ障害を理解し、容認できていればまったく問題ないのですが・・・
障害が個性として見られ、世の中に容認されていけば良いなぁ。
社会性という項目はいずれは、なくなるんじゃないのかな?なんて思ったりもしています。
話が逸れちゃいましたね!笑
このように動作の実用性は上記の5つの要素により構築されます。
そのヒトにとって、優先順位が高い要素を考える。
動作分析を行う際に、まずは実用性の5要素のうち何が必要で欠如しているのか?をざっくり見ましょう。
実用性の5要素のうち優先順位が1番高いのは安全性です。
なので、まずはその動作の安全性を評価していきましょう。
もし、安全性がクリアできていたとすれば、その他の要素を評価していきましょう。
実用性の5要素を評価してみよう!
では、どのような形で実用性を評価していくのか、例で考えてみましょう!
「自分で歩いてベッドから3m離れたトイレに行きたい!」という患者さんの場合
患者さんの身体機能面
- 時々ふらつきがあり、転倒してしまう。
- 速度は10m/20秒程度。
- 10m程度歩くと疲れてしまう。
現状の身体機能面で「歩いてベッドから3m離れたトイレに行く」には、実用性の5つの要素のうち、欠如している要素はどれでしょうか?
- 安全性=×(転倒してしまうため)
- 安定性=×(動作が毎回安定して遂行されていない)
- 速度性=◯(問題のない速度)
- 耐久性=◯(3mであれば問題ない)
- 社会性=◯(屋内での移動なため)
以上から、優先的に評価してアプローチすべき要素は、安全性、安定性となります。
安全性を邪魔してる問題点とは?
安定性を邪魔してる問題点とは?
というように、それぞれの要素にわけて、問題点を列挙することにより、考え方がシンプルにまとまります。
実用性を反映させた動作分析の書き方はこちら>>リハビリ実習生必須!動作観察・分析の書き方のコツとポイントまとめ
まとめ
リハビリでの動作の実用性、5要素について解説しました。
動作分析を行い、問題点を考える際に、「安全性・安定性・耐久性・速度性・社会性」で捉えることで、考えが整理し易くなります。
是非、臨床でお役立て下さい!
