フレンケル体操の効果と目的は?方法をイラスト付きで解説

フレンケル体操ってどんな体操?
目的は?効果は?方法を知りたい!

という方に向けてフレンケル体操について解説していきます。

後半はフレンケル体操のイラストをpdfファイルにまとめましたのでよろしければご活用ください!

おすすめ書籍

脊髄小脳変性症を患われている方やそのご家族の方におすすめしたい本です。正直内容は難しいかもしれませんが、これだけ詳しく書いてある本は少ないと思うので1冊持っておいて損はないでしょう。

神経難病領域のリハビリプログラムに関して言えば、下記の本がおすすめです。アプローチが具体的に記載してあります。

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フレンケル体操とは?(Frenkel Exercise)

フレンケル体操(Frenkel Exercise)とは、脊髄癆(脊髄性運動失調)の治療のために、スイスの神経外科医「ハインリッヒ・セバスチャン・フレンケル教授(Heinrich Sebastian Frenkel)」により開発された運動療法のことです。

ハインリッヒ・セバスチャン・フレンケル教授(Heinrich Sebastian Frenkel)

引用:Semantic Scholar

現在、フレンケル体操は脊髄小脳変性症などの小脳性の運動失調などにも使用されています。

 

フレンケル体操が作られた経緯をまとめますとこんな感じです。

  1. 1887年にフレンケルは、運動失調患者に指鼻指試験を行う。
  2. 検査が不合格となった患者が、次回診察時は驚くほどの改善していた。
  3. フレンケルがその間に何が起こったのかを患者に聞くと、患者は「テストに合格したいと思ったので練習しました」と答えた。
  4. フレンケルはこのような劇的な改善を見たことがなかったため、すぐ実用的な方法で研究を開始した。
  5. 結果、フレンケル体操が誕生。

 

フレンケル体操は、患者さんの治したいという切実な思いから偶然に誕生した体操です。

 

後ほど解説しますが、フレンケル体操は視覚の代償を使って、運動を正確に行うことで正常パターンに近づけるものです。

運動自体は非常にシンプルで、患者さんの状態に合わせて運動の難易度を上げたり、下げたりする必要があります。

フレンケル体操の目的は?

フレンケル体操の目的は、運動失調障害のある患者に対し、視覚の代償を用いて、固有感覚入力の強化・協調運動の再獲得をするためです。

運動失調???視覚の代償???固有感覚???協調運動???

う~ん。わかりづらい!という方!安心してください!説明しますね!

 

運動失調とは、「運動麻痺が無いにも関わらず、筋が協調的に働かないために円滑に姿勢保持や運動・動作が遂行できない状態」を言います。

動画で見るとこんな感じです。

筋肉が円滑にコントロールできていません。

なぜかというと固有感覚が障害されたことで力の強弱がつき辛くなっているからです。

 

固有感覚は、大きくわけて4つにわけられます。

  • 位置覚:関節の位置を伝える
  • 運動覚:関節運動の速度を伝える
  • 抵抗覚:どれくらい抵抗を受けているのか伝える
  • 重量覚:重量を感知する。

 

通常、ヒトは力の入れるとき、「無意識に20%くらいの力を出そう。」「80%くらいの力を出そう。」と判断して筋へ出力しています。

もし、これらの感覚に障害を受けると力のコントロールができなります。

運動失調になって紙コップを掴むと、力を入れ過ぎてグシャッと潰したり、生卵も握ることが難しくなって、筋の協調性がなくなります。

なぜかというと、自分の関節の位置、速度、抵抗感、重量感などがすべてわからなくなったからです。

イメージで言うと、今までボリュームコントロールで細かく調整できていたのに、いきなりスイッチのON、OFFのみになってしまったという感じです。

このように感覚がわからず力のコントロールが難しくなった場合、あなたはどうするでしょうか?

まずは、自分が適切に運動できているか、運動を確認すると思います。

そうです。これが固有感覚を視覚で代償しているということになります。

この視覚で得た関節の位置や動きの情報を脳にフィードバックして適時修正作業を行うことで、協調運動が再獲得できるとされています。

 

フレンケル体操は「運動失調障害のある患者に対して、視覚の代償を用いて、固有感覚入力の強化・協調運動の再獲得をするため」という意味が理解できたでしょうか?

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フレンケル体操の効果・エビデンスは?

脊髄小脳変性症に対する運動失調のリハビリテーションの効果に関して「集中的なリハビリテーションは持続効果があった」と報告されています。

脊髄小脳変性症に対する集中リハ(2時間x4週間)は、小脳性運動失調、歩行、日常生活動作を改善するが、3カ月以降に効果は次第に減弱する。
6カ月後に約半数の患者でベースラインより機能は良好であった。リハ後の機能改善の保持は小脳失調の程度に関連することが示唆された。
小脳失調症に対する短期集中リハビリテーションの効果に関する無作為比較研究
引用:小脳失調症に対する短期集中リハビリテーションの効果に関する無作為比較研究

しかし、残念ながら上記のリハビリテーションとは、筋力トレーニング、歩行練習、バランス練習などを指し、フレンケル体操ではありません。

運動失調に対してよく伝統的に行われている

  • フレンケル体操
  • 弾性帯装着
  • 重錘負荷

などは、即時的な効果は認めるものの、持続効果に対しては現在のところ不明とされています。

「じゃぁ、やらなくて良いじゃん!」

・・・というわけではありませんよ!

歩行練習などの転倒リスクがあるリハビリをする場合は、理学療法士などのリハビリ介助が必要になってきます。

しかし、フレンケル体操は、手すりなどを持って行う運動が多く比較的安全に行えるため、セルフトレーニングに向いています。

なので集中的なリハビリに加えて、無理のない範囲でセルフトレーニングで積極的にフレンケル体操を行っていくことが重要です。

 

ただスプーンを握る動きでも、視覚的に手を確認しながらゆっくりと行うことで、日常生活動作全てがリハビリとなります。

 

フレンケル体操を継続することで、効果はあると個人的には実感しているのですが・・・

どなたか臨床研究を進めてくれないか願っています。(もうすでに報告されていたらごめんなさい!)

フレンケル体操の基本原則

さて、フレンケル体操の実践の前に、フレンケル体操を行う上で必ず守らなければならないルールを解説します。

フレンケル体操の基本原則

  1. 運動に集中する
  2. 正確な運動を行う
  3. 反復する
  4. 運動スピードは一定に保つ
  5. 簡単な運動から複雑な運動へ展開する。
  6. 背臥位(仰向け)、座位から立位、歩行へと進める
  7. ADL(日常生活動作)に結び付ける

フレンケル体操を実践する場合に守らなければならない7カ条です。

集中しつつ、正確な運動を反復し、運動の上達とともに難易度を変更していきます。

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フレンケル体操は難易度調整が必須

フレンケル体操の中で一番難しいのが、運動の難易度調整です。

難易度を上げ過ぎると、難しすぎてやる気が起こらない。

でも、難易度を下げ過ぎると、簡単すぎて練習になりません。

成功7割、失敗3割くらいの難易度で始めて、運動の速度、強さなどのコントロールがほぼ確実に可能となれば、次の課題を設定しましょう。

 

また、細かく難易度調整をしたい場合は、下記のような条件を付け加えることで簡単に難易度を変更することができます。

試してみてくださいね!

運動の難易度設定

  1. 支持物:有り/無し
  2. 運動速度:遅い/早い
  3. 支持基底面:狭い/広い
  4. 重心:低い/高い

フレンケル体操の方法(やり方)をイラスト付きで解説!

代表的なものを難易度順&イラスト付きで解説します。

すべての体操のポイントは運動を視覚でしっかりと確認して、適時修正していくことです。

もし、視覚を確認でできない場合は、鏡を利用することが望ましいです。

背臥位・長座位

基本的に座ることが難しい方や、病気を発症して間もない方が行う運動です。

体幹を起こせない方は、完全に横になったまま行ってください。

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下肢の屈伸・内外転

下肢の屈伸、股関節を外や内への運動を行います。

左右対称の運動

 

左右同時に下肢の屈伸、股関節外・内への運動を行います。

ここで大事なポイントは左右対称性です。

左右バラバラではコントロールできていないということなので、速度、力を左右対称にできるよう意識してみてください。

両側の膝を曲げて股関節内外転

膝を曲げながら股関節を外側に運動させる股関節+膝関節の複合的な運動です。

自分が思う関節角度、速度で運動できているかを確認してくださいね

左右の異なる運動を交互に

下肢を膝屈曲、体側は膝を伸ばすという左右異なる運動を同時に行います。

下肢を浮かせて膝屈伸

空中で下肢を保持しながら、膝の曲げ伸ばしを行います。

踵を膝から足首まで滑らせる

踵を対側の膝にタッチし、そのまま足首まで滑らせます。

空間保持+課題が含まれて少し難易度が高くなっています。

端座位

これから紹介するメニューは、先程より難易度が高くなっています。

不安な方は転倒に注意して必ず手すりや誰かに介助してもらってくださいね!

端座位保持

椅子の上で姿勢が崩れることなく左右対称に保ちます。

足で目印をタッチ

 

足の前に目印を起き、その目印を目指して足・つま先をタッチする運動です。

足で円を描く

つま先で円を描きます。向きや大きさを変えたり、速度も変えたりして難易度を調整してください。

立ち座り

立ち座りです。

速度などを変えて難易度調整してください。

余裕のある方は支持物無しで行いましょう!

立位

立位での運動は転倒のリスクが高いため不安のある方は、必ず支持物を持つか、誰かの介助で行ってくださいね!

立位では自分の運動が確認できません。

なので、鏡を用意して運動や姿勢を目視確認できればベストです。

左右の重心移動

重心を左右移動します。しっかりと骨盤から移動するようにしてください。

タンデム肢位保持

綱渡りをするイメージで、踵と対側のつま先をくっつけてその姿勢を保持します。

難しければ足を足の感覚を広げて見ても良いでしょう(支持基底面の拡大)

平行線歩行

床に平行線を作り(イメージでも可)その上を歩く練習です。

速度などを変えたりして難易度コントロールしてください。

目印歩行

床に目印を作り(イメージでも可)その上を歩く練習です。

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フレンケル体操のまとめ(pdfファイルあり)

代表的なフレンケル体操を解説しましたが、この運動でなければならない!というわけではありません。

フレンケル体操は、視覚の代償で運動を脳にフィードバックして適時修正するのであれば、全てフレンケル体操です。

ご自身のレベル・難易度にあった運動をカスタマイズして行っていきましょう!

フレンケル体操まとめ(pdfファイル)

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シロマツ

訪問看護ステーションで理学療法士として働いています。 脳卒中などの中枢神経疾患や整形疾患、呼吸器疾患の方など対象に幅広く理学療法を行っています。

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