高齢者の歩行器は様々な種類・タイプがあって、どれを選んで良いのかわかりませんよね。
適していない歩行器を使用することで転倒していまうリスクが上がる方もいらっしゃいます。
でも、歩行器の特徴や選び方を知ることで、そういったリスクを減らすことが可能です。
この記事では理学療法士であるわたしが、介護・リハビリの現場での歩行器の種類や特徴、選び方などを解説していきます。
シルバーカー・歩行車・歩行器との違い
介護・医療の現場でも、下記の3種類が混合して呼ばれていることが多くあります。
- シルバーカー
- 歩行車
- 歩行器
見た目も良く似ていて間違えやすいのですが、目的がそれぞれ違います。
一般的に歩行器とは何を指すのかを整理してきましょう。
順に解説します。
シルバーカー
シルバーカー:高齢者向けの手押し車であって、荷物の運搬を主眼とするもの。歩行補助の目的ではなく体重を掛ける設計になっていない。介護保険の対象外。
引用:wikipedia
買い物などの荷物運搬での使用が主で、荷物を持って歩けない高齢者の方が使用されます。
種類によっては、荷物入れが椅子にもなるものもあります。
日常生活が自立されている方が使用されることが多いです。
介護保険の対象外なので、介護保険でのレンタルはできず、購入のみになります。
歩行車
四輪歩行車 - 高齢者向けの手押し車であって、歩行の補助を主眼とするもの。歩行器ほどでは無いがある程度体重を掛けられる設計になっている。介護保険の対象。
引用:wikipedia
シルバーカーの目的は荷物の運搬であったのに対して、歩行車は歩行の補助が目的なので、ある程度、体重が掛けられるようになってます。
構造上、シルバーカーは手のひらを下に向けて支持するのに対して、歩行車は握手するように支持します。
そうすることで、手に力が入りすくなり、体重が掛けやすくなります。
屋内・屋外にも使用できる極めて汎用性が高い歩行補助具です。
歩行器
歩行器 - 乳幼児用、リハビリ用、介護用などの医療用具類。
引用:wikipedia
歩行器は、シルバーカー・歩行車と違って医療用具になります。
だからと言って、使用に医師の許可などは必要ありません。
歩行器の特徴は、シルバーカーや歩行車とは違い、荷物入れなど不要な部分を削ぎ落して、歩行のみに特化しています。
主に、歩行練習などのリハビリや、転倒リスクを減少させることを目的にしています。
バリエーションが多く、歩行車よりもさらに体重が掛けられる構造になっています。
もちろん介護保険でレンタル使用可能です。
それぞれの特徴をまとめるとこんな感じです。
シルバーカー |
自立している方向け 買い物の台車変わり 介護保険使用不可 |
歩行車 |
シルバーカーより体重が掛けられる カゴやイスもあり、実用性も兼ね備えている 介護保険使用可 |
歩行器 |
医療用具 歩行に特化している 介護保険使用可 |
これらの歩行補助具を選定するのに一番大事なことは「目的」です。
目的を明確にすることでまずは大雑把に、シルバーカーか、歩行車か、歩行器かを選択しましょう!
今回は、歩行器に特化して解説していきますよ!
歩行器が必要な人は?
歩行器が必要な方は、筋力が低下したり、足の痛みなどが原因で、杖では歩けない、もしくは杖だけでは不安のある方です。
地面と接地している箇所を囲った部分を支持基底面と言い、広いほど安定します。
杖よりも、歩行器を使用することで、支持基底面が拡大し、バランスを崩し辛くなります。
当たり前のことかもしれませんが、その当たり前がこのような歩行補助具の選定に非常に大事になりますので、覚えておきましょう!
歩行器の種類
歩行器は動作能力に合わせて様々な種類があります。
- 固定型歩行器
- 車輪型歩行器
- 前方車輪型歩行器
- 交互型歩行器
- 前腕支持型歩行器
それぞれの歩行器にどんな方が適しているのかも解説していきます。
(購入される場合は、できるだけ福祉用具会社の方や、理学療法士などの専門家に相談しましょう!)
固定型歩行器
固定型タイプは、他の歩行器よりもしっかりと体重を乗せることができます。
免荷に優れているので、体重を乗せると痛みが出現する「荷重時痛」がある方や、体幹のふらつきが大きい方などに適しています。(免荷:体重を掛けないこと)
デメリットは、歩行器を一歩ずつ前に出しながら移動するので、スイスイと歩けないことです。
ゆっくりでも、しっかり免荷しながら、確実に移動する方必要のある方に適しています。
固定型歩行器の適応
- 脚に体重が掛けられない方
- ゆっくりでも良いから確実に動きたい方
車輪型歩行器
固定型タイプのように歩行器を上へ持ち上げなくても、車輪でスイスイ進みます。
足にしっかりと体重は掛けられるけど、少しふらつきがある方に適しています。
歩行器へ荷重し過ぎると、車輪を使って前に移動できないので、多く荷重する必要のない方に適応になります。
車輪型歩行器の適応
- ある程度、下半身に体重を掛けられる方
- スムーズに動きたい方
前方車輪型歩行器
四つ足と車輪型の良いとこ取りのようなタイプです。
荷重をかけると、しっかりと免荷できますし、後ろ脚による一定の摩擦はありますが、スイスイ動きます。
前方車輪型歩行器の適応
- 下肢に積極的に荷重を掛けられない方
- スムーズに動きたい方
交互型歩行器
左右にフレームが分かれていて、腕を振り出すと、歩行器も前へ移動できる作りになっています。
固定型タイプの歩行器だと、前へ進む際に持ち上げる必要がありますが、交互型だと、歩行器を持ち上げなくても、確実に前に移動できることができます。
交互型歩行器の適応
- 歩行器を持ち上げられない方
- 立位バランスが悪い方
- 足にしっかりと体重を掛けられな方
前腕支持型歩行器
今まで紹介した歩行器とは違い、比較的に背が高く、大きいタイプになります。
手だけではなく前腕から歩行器に荷重を掛けられるので、今まで紹介した歩行器では不十分な場合に使用されます。
前腕支持型歩行器の適応
- 体幹の不安定性が強い方
- 足に体重を積極的に掛けられない方
歩行器を選択するポイント
歩行器を選択するポイントは、何のために使用するのか?という目的が1番大事です。
買い物に行くため?
屋内で使用するため?
リハビリで使用するため?
などなど、目的を明確にしましょう!
歩行器のオーソドックスな検討項目を列挙しておきます!
- 使用するのは屋内?屋外?
- 日常生活用?リハビリ用?
- カゴは必要?不必要?
- 椅子は必要?不必要?
- 足にしっかりと体重を乗せられる?
- 歩行器のタイプは?
- 金額は?
歩行器を選んでレンタル、または購入する前に必ず上記の項目を検討してみて下さいね!
歩行器の工夫~カゴをつけてみる~
歩行車にはカゴがついていますが、基本的に歩行器にはついていません。
でも、日常生活で歩行器を使用するのなら、カゴがあった方が便利ですよね。
そういう方には100均のダイソーで販売しているカゴがおすすめです。
歩行器に結束バンドなどを使って括り付けることで、便利なカゴつき歩行器の出来上がりです。
ちょっとしたアイデアで歩行器がもっと使いやすくなったりします。
カゴをつけたい方は、是非お試しあれ!
まとめ
高齢者のための歩行器の種類や選び方について解説しました。
毎年、たくさん便利な歩行補助具が誕生しています。
上記以外にも便利であなたにピッタリの歩行補助具が見つかるかもしれません。
様々な歩行器を試してみることをおすすめします。