という疑問にお答えします。
私は経験年数が10年を超える現役の理学療法士です。
日々、患者さんの重心の位置を推測して動作分析を行っています。
この記事を読むことで以下のことがわかります。
この記事でわかること
- 重心の基本
- 重心位置の求め方
- 動作分析での使い方
重心とは?
重心(英: Center Of Gravity)=COGとも呼ばれており、質量中心のことを言います。
重力のバランスはこの身体重心を中心として保たれています。
人体の重心は下記の3つの要素で規定されています。
- 身体があらゆる方向に自由に回転しうる点
- 身体各部の質量が相互に平衡である点
- 基本前額面、基本矢状面、および基本水平面」の3つの面が交差する点
でも心配しなくても大丈夫!
人の重心は簡単に求められるんですよ!
重心位置の求め方
立位時の重心は第2仙骨前方と言われています。
成人男性は身長の下から約56%
成人女性は下から約55%の位置にあります。
でもこれは立位での話で、姿勢が変わると重心の位置が変わることが想像できますよね。
なので、これだけの知識では動作分析などの応用的なことには使えません。
実際の動作分析などで使用する重心の求め方はコチラ。
臨床で使える重心位置の求め方
上半身重心
・第7~9胸椎(剣状突起は第9胸椎なのでみぞおちのやや上)
下半身重心
・矢状面であれば、大腿骨1/2~近位1/3(大腿骨の真ん中の少し上)
・前額面であれば、左右それぞれの大腿骨1/2~近位1/3を結んだ中点
身体重心=上半身重心と下半身重心の中点。
上記の求め方は前額面、矢状面どちらでも適用されます。
下半身重心がわかりづらい方もいると思うので、個別に画像を作りました。
正確に示すと以下の画像のような位置になるのですが、ややこしいので大腿骨の中点より少し上と覚えていた方が良いかもしれません。
重心位置がわかれば関節モーメントが推定できる。
重心位置だけがわかったとしても、臨床ではあまり役に立ちません。
ですが「重心」と「重心から関節までの距離」がわかると
関節に対してのモーメントアーム=関節モーメントが推定できます!
関節モーメントがわかることにより、各関節に掛かる負荷がわかります。
関節モーメントとは
重心から関節位置までの距離であり、関節が回転する力のことを言います。
関節モーメントが長ければ長いほど負担が大きく、短ければ負担が軽くなり、その長さに応じた筋力が必要となります。
皆さんは重たい荷物を運ぶとき、身体の腰あたりに近づけて持ちませんか?
それは無意識に身体の重心と荷物の重心を近づけて関節モーメントを短くして、負担を減らそうとしているからです。
上の二つの姿勢を見比べて下さい。
股関節と重心線までの距離(関節モーメント)は左は長くて、右は短いですよね。
これにより股関節の負荷は左で大きく、右で小さいということがわかります。
また、膝関節と重心線までの距離(関節モーメント)は、左は短くて。右は長いです。
これは膝関節の負荷は左で小さく、右で大きいということがわかります。
重心と関節位置さえわかれば、関節モーメントが可視化できます。
そうすることで、関節に掛かる負担やその姿勢を保持するために必要な筋出力などがわかります。
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まとめ
重心の基礎や重心の捉え方、重心を利用した動作分析を解説しました。
重心を捉える練習をすれば、2、3日で慣れると思います。
そんなに難しいことではないので、重心を把握して介護や動作分析に役立てて下さい。