リハビリテーションでのバランスとは?定義や、臨床での実際を解説

投稿日:2017年7月13日 更新日:

よく、リハビリを行っていると、『バランスが悪いから転倒する。』という言葉をよく聞きます。

ついついバランスって便利な言葉なので、使ってしまいがちですが

何をもってバランスが悪いというのでしょう?

 

 

今回は、バランスの定義や理論、臨床での実際を解説します。

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バランスの定義

定義を語るうえで、整理しておきたい用語は『バランス』と『バランス能力』の二つです。

『バランス』の定義は

バランスとは、重力をはじめとする環境に対する生体の情報処理機能の帰結・現象を指す。
支持基底面に重力を投影するために必要な平衡機能に関わる神経機構に加えて、骨のアライメントや関節機能、筋力などの要素が含まれる。
(内山靖)

『バランス能力』の定義は

バランス能力とは、身体重心の投影点を安定性限界と呼ばれる支持基底面内の範囲内に保持する能力である。

(shumway-cook)

それぞれを簡単に解説しますと

バランス能力とは、『バランスを保つ能力』であり、

バランスとは、『バランス能力が身体機能や環境などに影響し、結果として現れた現象』と言えます。

つまり、バランスとは身体機能ではなく、『現象』なのです。

なので、ここからはバランスを保つための能力である『バランス能力』について解説していきます。

バランス能力の捉え方

バランス能力は、それぞれの機能が協働しあって、発揮されます。

アライメント、筋力、骨関節機能・・・などなど、これらの機能のうちどれか、一つでも、欠如すると、たちまちバランス能力が低下します。

 

身体機能面で言えば、足関節が完全に固定されている状態で、片足立ちをしたらふらつきますよね。

または、正座して足がしびれていて、感覚機能が低下しているときに歩いてもふらつきます。

このように身体機能の一部が制限されたり、機能低下を起こすと、バランス能力に影響を及ぼします。

 

そして、このバランス能力は『環境・課題によっても、変化します。

環境で言えば、揺れている船の上で片足立ちしたら、ほとんどの方がバランスがふらつきます。

課題で言えば、バレリーナのように、つま先立ちをしても、ほとんどの方がふらついてしまいます。

なので、一概にバランスが悪いといっても、たくさんの要素に影響します。

そのため、バランスを構成する要素のどれが、一番バランス能力に悪影響を及ぼしているのかを細かく評価する必要があります。

 

次は、バランスをわかりやすくするために、バランスの分類について学んでいきましょう。

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バランスの分類

静的・動的にわける分類

  • 静的バランス:一定の場所に重心を保持する能力
  • 動的バランス:身体位置の移動に伴う運動における姿勢を保持する能力

名前の通り、全く動かないのが静的バランス。

身体のどこかしらを動かしていたら、動的バランスになります。

なので、歩行でも、動的バランスに分類されます。

支持基底面と重心の要素を含めた分類

バランスを支持基底面と重心の要素を含めると以下のような分類になります。

①⇒④になるほど、難易度が高くなる。というわけではありません。

難易度は、支持基底面の広さや、重心の位置、重心の移動スピード、環境、生理的要因など様々な要因で変化するのため、一概には言えません。

しかし、現象として現れるバランスを整理する上で、非常に重要な分類です。

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臨床でのバランスの捉え方の実際

実際の臨床では、バランスをどのように考えて捉えれば良いのでしょうか?

バランスは、『現象』です。

なので『現象を的確に捉える』ということが、重要になってきます。

現象を的確にとらえるために、患者さんのバランスを崩す場面を下記の7つのポイントに絞って観察します。

  1. どんな環境で
  2. どんな課題で
  3. どんな動作・姿勢で
  4. どんな支持基底面で
  5. どんな重心の位置で
  6. どんなふらつき方をしていて
  7. 立ち直り反射が出ているのか?

これら現象を的確に捉えることから始まります。

では、実際に、ヒトがバランスを崩す場面を的確に観察しましょう。

高齢な女性です。患者さんですかね。

車輪付きのpickup歩行器を使用しています。

後方に勢いよく転倒しています。痛そうですね・・・

転倒した場面を捉える一例 

  1. どんな環境で→病室で、車輪付きのpickup歩行器を使用。介助者はなし。
  2. どんな課題で→右側への方向転換
  3. どんな動作・姿勢で→病衣で見づらいが、体幹屈曲位、膝関節屈曲位で後方重心気味。
  4. どんな支持基底面で→pickup歩行器から足底面までの範囲
  5. どんな重心の位置で→重心は骨盤付近。支持基底面より、後方に位置している。
  6. どんなふらつき方をしていて→体幹が右回旋しながら、後方へふらつく。
  7. 立ち直り反射・反応は出ているのか?→後方へステッピング反応などは出現したが、そのまま転倒した。

こういった視覚からの情報をしっかりと捉えて、バランスに悪影響を与えている原因を詳細に評価してきます。

 

ポイントとして、支持基底面は、pickup歩行器~足底全面までと広いのに、方向転換と同時に重心が後方へ逸脱してしまっています。

なぜなんでしょうか?

アライメント?筋力?平衡機能?認知機能???

などなど、この情報を頼りに、考えられる原因を評価考していきましょう。

 

バランス能力に悪影響を与えている原因が、把握できれば、バランスを客観的に評価する指標(片足立位検査、Timed Up and Go Test(TUG)や、Functional Balance Scale(FBS ))などを行い、現時点でのバランス能力を評価します。

その後、治療アプローチを実施し、再び、動作や、バランス能力を評価しましょう。

まとめ

バランスの捉え方や、臨床での実際の考え方などを解説しました。

患者さんや、他職種の方などはバランスが悪い。という表現で問題ありませんが

リハ専門職であれば、バランスを現象と捉えて、どこが悪いのか?まで考えられるようになりたいものです。

関連記事:リハビリテーションでのバランストレーニング鉄板23選

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  • この記事を書いた人

シロマツ

訪問看護ステーションで理学療法士として働いています。 脳卒中などの中枢神経疾患や整形疾患、呼吸器疾患の方など対象に幅広く理学療法を行っています。

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