という方に向けて、本記事では、股関節を学ぶ上で避けて通れない「スカルパ三角」の触診方法や意義、覚え方について解説していきます。
スカルパ三角(Scarpa triangle)とは?
- 【別名】大腿三角
- 【英語】Scarpa triangle
- 【ラテン英語】femoral triangle
スカルパ三角とは、鼠径部にある三角形の窪みのことを言います。
イタリアの解剖学者、Antonio Scarpa(1752~1832)が、1811年ごろ鼡径部のヘルニアに関する著書で「スカルパ三角」と命名しました。
スカルパ三角は下記の3つの組織により構成されます。
- 鼠径靭帯
- 縫工筋(内側縁)
- 長内転筋(外側縁)
そして、その三角形の内側から
- 大腿静脈
- 大腿動脈
- 大腿神経
が並びます。
その三角形の中心には、大腿動脈の脈拍を確認でき、その外側に大腿骨頭が位置しています。
スカルパ三角の覚え方
「長男転勤、ほぅ、そうけ~!」
- 長男転勤=長内転筋(外側縁)
- ほぅ=縫工筋(内側縁)
- そうけ~=鼠径靭帯
そのまんまで、すごく覚えやすいですね。
スカルパ三角の臨床的意義
スカルパ三角内に「大腿動脈」と「大腿骨頭」があることで、臨床的な指標として使用されます。
- スカルパ三角の中心部で大腿動脈の脈をとることができる
- 大腿骨頭骨折や変形性股関節症などの股関節疾患では、スカルパ三角での圧痛が認められる
- 先天性股関節脱臼の場合、スカルパ三角を強く圧迫した歳、骨頭が感じられない。(スカルパ三角の空虚)
- 大腿義足の四辺形ソケットで安定した坐骨支持を得るために、スカルパ三角の適度な圧迫が必要なため、指標として使用されている
このように多くは股関節疾患などの診断に使用されることが多いです。
よくドクターの症例報告で、股関節疾患の術前の所見で「スカルパ」三角に圧痛あり」と記載しているケースが多いですね。
スカルパ三角の触診方法
大体の部位は予想がつくと思いますが、できればきっちり触れるようになりたい!という方もいらっしゃると思うので、ここからはスカルパ三角を構成する3つの組織のざっくりとした触診方法を解説していきます。
鼠径靭帯
鼠径靭帯は、上前腸骨棘と恥骨結合を繋いでいる靭帯です。
なので、上前腸骨棘と恥骨結合を結んだ線で鼠経靭帯にふれることが可能です。
縫工筋
縫工筋は、上前腸骨棘と脛骨粗面の内側縁に付着している筋です。
- 上前腸骨棘を触診する
- 上前腸骨棘の少し遠位が縫工筋の起始
- その位置から内下方へ走行する
あぐらをとるようにて貰うとわかりやすいですよ!
長内転筋
長内転筋は、坐骨結節と大腿骨粗面内側唇中部1/3に付着しています。
- 股関節と膝関節を曲げながら(屈曲)、股関節を外側に広げる(外転)
- そのまま大腿骨内側の中部を触診しながら、股関節を内に閉じるように運動を行う
- その時に強い収縮を感じる筋が長内転筋。
触診しながら股関節を内に閉じる動作(内転)を繰り返して、徐々に坐骨結節まで追ってきます。
まとめ
スカルパ三角について解説しました。
股関節関連の臨床的な指標になるため、知っておきましょう!