という疑問にお答えします。
当サイトの管理人のわたしはリハビリの専門家の理学療法士です。
経験年数は10年を超えており、今まで病院や在宅医療の現場で何百人の高齢者の患者さんのリハビリを担当してきました。
この記事を読むことで以下のことがわかります。
この記事でわかること
- 棒体操の目的、効果
- 効果的な棒体操の方法をイラストつきで学べる
- 記事の後半で「イラストpdfファイル」をダウンロードできる
白衣のドカタ おすすめ参考書
棒体操を大きな写真を使用してわかりやすく解説されています。体操を実際に行われる高齢者の方におすすめです!
数少ない棒体操に関する本です。棒体操の効果や可能性、実践など詳しく書いています。
棒体操とは?
棒体操とは、文字通り「棒を使用した体操」のことを言います。
棒を持つことで、運動範囲を一定にすることができ、無理の無い安定した運動が可能となります。
そのため棒体操は、ラクに、そして気軽にできるので「習慣付きやすい」と言えます。
よく高齢者の方や、パーキンソン病などの神経難病の方のリハビリにも幅広く行われています。
そんな棒体操は、過去にも介護予防分野で注目されてきました。
あの107歳まで生きられた「曻地三郎さん」が発案した「十大習慣健康法」の中にも「棒体操」が含まれています。
十大習慣健康法
- 笑顔とユーモアを心がける
- 朝の冷水摩擦と歯茎マッサージ
- 毎日棒体操を行う
- 祈って人生を前向きにする
- 一口30回は噛む
- 語学を勉強する
- 新聞を読んで好奇心を磨く
- 口八丁手八丁足八丁(こまめに働き脳活性)
- 日記をつける
- 固いマットで上を向いて寝る
曻地三郎さんは、1日5分間、365日毎日行っていたそうです。
棒体操の「棒」の作り方
棒の作り方は簡単!
新聞紙を丸めて、外側からガムテープやビニールテープで巻いたら出来上がりです。
- 棒の太さ:手のひらで持てるくらい。
- 棒の長さ:長すぎず短すぎず。50~70㎝ほどがベスト。
もし、作るのが面倒なのであれば「杖」でも問題ありませんし、棒体操の専用棒も販売していますよ!
棒体操の目的
棒体操の主な目的は3つあります。
- 全身の柔軟性を保つ(主に肩や体幹がメイン)
- 脳の活性化(指先や反射神経を刺激する)
- 転倒予防(バランス練習)
高齢になると、筋肉が固くなって転倒し易くなったり認知機能が低下しがちですが、棒体操を行うことでそれらの悪化を防げる可能性があります。
他にも、神経難病の「パーキンソン病」では、猫背(前屈前傾姿勢)となりやすいため、姿勢を矯正する目的でよく棒体操が行われます。
棒体操は1人で容易にできるので、可能な範囲で行いましょう。
棒体操の高齢者への効果
過去に「棒体操」が高齢者の転倒予防に及ぼす効果の研究が報告されています。
要旨:本研究の目的は,「棒体操」が高齢者の転倒予防に及ぼす効果,および「棒体操」の効果発揮時期と効果持続期間を検討することであった.4地区町村の地域在住高齢者62名を無作為に前期介入群(「棒体操」を週2回6ヵ月間自宅で実施した後,6ヵ月間経過追跡)と後期介入群(6ヵ月間の通常生活後,「棒体操」を週2回6ヵ月間実施)に割り付け,介入した.「棒体操」実施のアドヒアランスは87.5%と高く,転倒者数と躓き者数,転倒の内的要因に有意な改善がみられた.さらに,「棒体操」の効果は介入後1ヵ月から出現し,終了後も6ヵ月間持続した.以上の結果から「棒体操」は継続性があり,転倒予防に効果的であることが明らかとなった.
上記を更に要約しますと
- 高齢者が棒体操を週 2 回 6 ヵ月間、自宅で実施したら、転倒予防に効果があった。
- 棒体操の効果は介入後 1 ヵ月から出現し,終了後も 6 ヵ月間持続した。
棒体操の効果には継続性があり,転倒予防の効果が高いことが示唆されます。
他にも認知症予防にも効果がある可能性も示唆されています。
イラストで棒体操の方法・やり方を解説!
ここからは、棒体操を3種類の目的別で紹介していきます。
- 姿勢矯正、柔軟性向上
- 認知症予防
- 転倒予防
行われる方の能力に合わせて、プログラムを取捨して下さい。
最初は3分程度、3種類程度から初めて、徐々に時間や種類を増やしてください。
注意点
- 立つのが不安な方は、座ったまま行って下さい。
- 肩や腰に痛みのある方や、途中で痛み方は中止して下さい。
- 疲労感がある方は行わないでください。
姿勢矯正、柔軟性向上
チェックポイント
- 引き込み運動:腕を後方に引き込み、胸を張りましょう。
- バンザイ運動:バンザイをして、胸を張りましょう。
- バンザイから胸張り運動:バンザイから棒を首の付け根くらいまで下げて、胸を張りましょう。
- バンザイから外側へ傾ける運動:バンザイから左右へ身体を傾けましょう。
- 体幹捻り運動:足は動かさずに体幹を大きく捻りましょう。
チェックポイント
外側へ広げる運動:棒を持って、外側へ腕を広げましょう。私はわかりやすく「欽ちゃん歩き体操」と呼んでいます。
引き上げ運動:棒をできる限り上へ引き上げましょう。
車のハンドル運動:車のハンドルのように、棒を回転させましょう。
剣道運動:剣道のように、前方へ面を打ちます。余裕のある方は、手だけではなく、足も一歩前に踏み込んでみましょう。
チェックポイント
前屈運動:大きく前へ前屈しましょう。
背中に棒を挟んで胸張り運動:背中に棒を挟み、胸を張ります。不安定になりやすい方は手伝ってもらいましょう。
背中で棒の受け渡し運動:胸を張りながら、棒を左右の手で交互に受け渡しします。
認知症予防
チェックポイント
注意点:周りに障害物や物が無い環境で行って下さい。
- 両手キャッチ運動:上へ棒を投げて両手でキャッチします。
- 片手キャッチ運動:上へ棒を投げて片手でキャッチします。
- 棒立てバランス運動:手のひらで棒を立てて倒れないようにバランスを取りましょう。
- 棒回転キャッチ運動:慣れれば、3回転や、右手で投げて左手でキャッチなど難易度を挙げても良いでしょう。
転倒予防(バランス能力)
チェックポイント
注意点:不安定な姿勢になり易いため、転倒には十分気を付けて下さい。
- 両足周り運動:中腰になって、棒を両足の周りに回しましょう。
- 股抜き運動:バスケット―ボール選手のように棒を八の字で股抜きしましょう。
- 股くぐり運動:足を挙げて棒を股くぐりさせましょう。
- 胸張りランジ運動:棒を背中に回して、大きく一歩踏み出すランジ運動をしましょう。
他にも、介護予防に重要なおすすめのリハビリテーショングッズもご紹介しています。宜しければ参考にして下さい。
まとめ
棒体操の効果や、種類、方法等を解説しました。
棒体操は、安楽で、比較的継続し易い運動です。
是非とも継続して、健康寿命を伸ばして頂ければと思います。
紹介した棒体操の種類を全てpdfファイルにまとめていますので、よろしければ、介護現場やご自身で使われる際にお使い下さい。