筋緊張の種類や、痙縮のメカニズム、評価、治療をわかりやすく解説!

投稿日:2017年7月1日 更新日:

痙縮?固縮?強直?攣縮?痙直?筋スパズム???

筋緊張に関する用語って色々あってわかり辛いですよね。

そして、筋緊張自体がわかりづらく、あまり他の療法士や実習生から質問されたくないし、質問し辛い分野でもあります。

 

今回は、たくさんある筋緊張の用語の整理や、異常な筋緊張の中でも一番問題として扱うことが多い「痙縮」に関するメカニズムや評価、治療についてまとめてみました。

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臨床での筋緊張に関して、これに勝る一冊はないのではないかと思うほど、筋緊張に関して広く、深く、そして詳しく記載されている本です。

筋緊張を極めたい方は是非。

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筋緊張の定義

筋緊張(筋トーヌス)(muscle tonus,myotone,myotonia)の定義とされているものは、複数あります。

  •  神経生理学的に神経支配されている筋に持続的に生じている筋の一定の緊張状態(多数の筋線維の単収縮の加重)
  • 骨格筋は何も活動していないときにも絶えず不随意的にわずかな緊張をしており、このような筋の持続的な弱い筋収縮
  • 安静時、関節を他動的に動かして筋を伸張する際に生じる抵抗感

どの定義も「無意識でも筋は、常に緊張していて、関節を他動運動すると抵抗を感じる」ということが共通しています。

筋緊張に関する用語を整理

冒頭で上げたように、筋緊張に関する用語ってたくさんあります。

それが非常にややこしい。

混乱しないためにも、まず用語の整理をしましょう。

 

筋緊張は、正常と異常の2つにわけられます。

  • 正常筋緊張
  • 異常筋緊張

正常筋緊張について

正常な筋緊張はさらに2つにわけられます。

  • 高筋緊張
  • 低筋緊張

筋緊張はヒトの活動状態に合わせて、臨機応変に変化します。

筋力を発揮する際や、緊張したときは「高筋緊張」となり

リラックスしたときは「低筋緊張」となります。

 

このように私たちの身体は、無意識のうちに筋緊張を状況に応じてコントロールしています。

そして、筋緊張の用語を下記のように整理して考える必要があります。

  • 正常筋緊張の「高筋緊張」・「低筋緊張」
  • 異常筋緊張の「筋緊張の亢進」・「筋緊張の低下」

わかりやすく表にまとめると下記のようになります。

異常筋緊張について

異常な筋緊張は、動作の遂行を阻害して、活動を制限します。

しかし、異常な筋緊張があるからこそ、下肢の支持性を得られ、動作や活動が遂行できるケースもあります。

一概に全てが治療対象ではないことを念頭に入れておきましょう。

異常筋緊張は、大きくわけて4つあります。

  • 痙縮(痙性、痙直、攣縮)
  • 固縮(硬直、強剛、強直)
  • 筋スパズム(筋攣縮)
  • 筋硬結

ややこしいので、異常筋緊張の種類を表に付け加えてまとめました。

次に、異常筋緊張の種類を解説していきます。

固縮(硬直,強剛,強直)

パーキンソン病に見られる特有の異常筋緊張です。

他動的に関節運動を行うと、筋に一定の硬さを認めます。

関連記事>>パーキンソン病の症状や評価、ガイドラインに沿ったリハビリテーション

 

英語では、rigidityと言います。

日本神経学会は、rigidityとは固さを示し、呼称は、硬直,強剛,固縮,強直の4つを挙げています。

参照:神経疾患における用語統一に向けての課題

 

呼び方が4つもあってややこしいですが、ほとんどの医療従事者は「固縮」と呼んでいます。

筋スパズム(筋攣縮)

筋が急速かつ不随意に収縮している状態を言います。

神経学の分野では「継続的に生じる一定の持続時間を持った異常な筋収縮状態」と定義され、痙縮や固縮とは別に区別されます。

理学療法領域では「痛み刺激に対する防御作用の一環とした反射的・持続的な筋緊張の亢進」を指すことが多いです。

 

「外傷や炎症などの痛みによって、筋が不随意に収縮し、その筋の慢性化している」というイメージで良いかと思います。

筋硬結

一般的に言われている「凝り」の代表的なものが「筋硬結」です。

様々な要因により、筋が硬く結節状になった状態を言います。

特徴として、筋繊維の一部に限局した筋の硬さと圧迫したときの痛みがあります。

 

次に、私たちが一番よく見るであろう異常筋緊張の「痙縮」について、詳しく解説していきたいと思います。

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痙縮とは???

主に脳卒中、脳梗塞後遺症の症状で観察されます。

臨床で「筋緊張が…」と聞けば、ほとんどが痙縮のことです。

筋緊張とは異なる意味なため、正しく用語を使い分ける必要がありますが、お互い理解していれば良いと思います(笑

痙縮の定義

痙縮とは、速度依存性を特徴とした、伸張反射の亢進の結果生じる,上位運動ニューロン症候群の一徴候である。(Lance JW:1980)

上記のLanceの定義は、今でも一般的に広く使われています。

難しいですが、筋緊張のメカニズムがわかれば簡単に理解できますよ!

痙縮のメカニズム

痙縮のメカニズムは、まだ詳細が不明で様々な原因が考えられています。

痙縮による運動障害の本態・・・γ運動ニューロンの活動性の亢進、筋紡錘感受性の上昇、Ia群線維終末に対するシナプス前抑制の減少、Ia群線維の変性/発芽現象,a運動ニューロンへの興奮性入力の増大および抑制性入力の減少やシナプス後膜の感受性の上昇(a運動ニューロン身の興奮性の変化)などの関与が推測されているものの、詳細はいまだに不明である、以上のそれぞれが,疾患あるいは病巣によって,質的および量的に痙縮への寄与の程度が異なるものと推測される。 (痙縮の病態生理 正門 由久 2013) 

様々な説がある中で、一番可能性が高いといわれているのが「γ運動ニューロンの亢進説」と言われています。

γ運動ニューロン亢進説を理解するには「α‐γ連関」を知っておきましょう!

α-γ連関のメカニズムの手順

  1. γ運動ニューロンが興奮
  2. 筋紡錘内の錘内筋が興奮
  3. Ⅰα群線維からα運動ニューロンへ興奮が伝わる。
  4. 筋緊張が高まる

上記の手順によって、筋緊張が高められます。

このシステムを「α‐γ連関」と言います。

 

α・γ運動ニューロンは、上位中枢から暴走しないように常に抑制されおり、筋緊張は適切にコントロールされています。

 

しかし、脳卒中など、錐体路や錐体外路を損傷すると、大脳皮質からの抑制が遮断され、錐体外路の活動が過剰に高まります。

その結果、γ運動ニューロンが常に興奮してしまい、α運動ニューロンも興奮し続け、筋緊張が常に亢進してしまう。というメカニズムです。

具体的には下記のような流れです。

  1. 錐体路・錐体外路障害により上位中枢から抑制が外れてしまう
  2. γ運動ニューロンが常に興奮
  3. 筋紡錘内の錘内筋が、筋が伸張されている!と勘違い
  4. α運動ニューロンへ興奮を伝達

Lanceの定義にもあった「伸張反射の亢進の結果生じる」というのは「筋緊張が亢進して、常に伸張反射を起こしている状態」のことを言います。

なので痙縮の定義は「伸張反射の亢進の結果」と言われいるのです。

痙縮の症状・特徴

痙縮には、陽性兆候と陰性兆候があります。

  • 陽性兆候・・・筋緊張の増加、腱反射の亢進、伸張反射の他筋への波及、クローヌス、異常姿勢、病的共同反射、病的同時収縮、屈曲反射の亢進
  • 陰性兆候・・・麻痺、筋力低下、巧緻性の低下

臨床では、特徴的な陽性兆候に捉われがちですが、陰性兆候も動作に直結する項目ですので、しっかりと評価しなければいけませんね。

シロマツ
次にこれだけは知っておきたい特徴!「速度依存性」と「クローヌス」について解説してきます!

速度依存性とは?

痙縮は、関節運動を他動的に早く行うと、より抵抗感が増します。

逆にゆっくり動かすと抵抗感が少なくなります。

痙縮の抵抗感は速度に依存しているので、この性質を「速度依存性」と呼びます。

痙縮と固縮の見分け方

痙縮か、固縮かを見分ける場合、関節運動の速度を変えて運動してみましょう!

早い運動で抵抗感をより感じた場合は「痙縮」です。

運動速度に関わらず、一定の抵抗感を感じた場合は「固縮」になります。

 

しかし、臨床では、それぞれが混ざり合っている「痙固縮」も多く見られるので、注意が必要です。

 

また、他動的に関節を動かし始め際も、抵抗感を感じますが、ある角度から、スッと力が抜けたようにスムーズに関節運動ができます。

この現象を折りたたみナイフに例えて「折りたたみナイフ現象」とも呼ばれています。

折りたたみナイフはナイフを出すときに抵抗感が強く、ある角度を境に力を入れなくてもスッと刃が出せるので、痙縮の抵抗感に似ているから名付けたのでしょう。

クローヌス(Clonus)

クローヌス(Clonus)は、痙縮の特徴的な症状です。

伸張反射が、著明に亢進した場合に出現します。

クローヌスを止めるには、対象となる筋をゆっくりストレッチングしましょう。

素早くするとクローヌスが憎悪するので注意が必要です。

 

重度の方は、歩行時に立脚後期でクローヌスが出現して、振り出しが安定しない方などよく見かけます。

 

そういった方は、足趾の遠位関節が屈曲する「clow toe」を伴っている場合が多いです。

下肢装具のSHBなどで指枕(Inhibitor bar)などを敷いて、装具の角度を背屈位で固定すると、出現しづらかったりします。

装具を作成される際は是非参考にしてみてください。

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痙縮の評価

代表的な評価方法をご紹介します。

  • Modified Ashworth Scale(アシュワース スケール)
  • Modified Tardieu Scale変法(タールディユ・スケール)
  • 深部腱反射

Modified Ashworth Scale(アシュワース スケール)

痙縮治療のボトックス臨床試験などにも使用され、信頼性が高いといわており、臨床的な評価では、最も有名な評価です。

Modified Ashworth Scale

患者さんに安楽な姿勢をとってもらい、評価したい関節を他動運動していき、その抵抗感を下記の6段階で評価します。

  • 0:筋緊張の亢進はない。
  • 1:軽度の筋緊張亢進がある。引っ掛かりとその消失、または屈曲・伸展の最終域でわずかな抵抗がある。
  • 1+:軽度の筋緊張亢進がある。明らかな引っ掛かりがあり、それに続くわずかな抵抗を可動域の1/2以下で認める。
  • 2:よりはっきりとした筋緊張亢進を全可動域で認める。しかし、運動は容易に可能。
  • 3:かなりの筋緊張亢進がある。他動運動は困難。
  • 4:患部は硬直し、屈曲・伸展は困難。

注意点として、modified Ashworth scaleは、被動性筋緊張を測定する方法なので、関節運動の速度に大きく影響されます。

そのため、速度を変えると誤差に繋がるので、複数回、速度を変えたり、引っかかる角度などを評価し、判断することが大事です。

被動性筋緊張・・・筋を他動的に速く動かして、 検者が感じる筋の抵抗のこと

Modified Tardieu Scale変法(タールディユ・スケール)

足関節などテコが短い関節は、容易にクローヌスが出現し、Modified Ashworth Saleでは詳細に評価ができないケースがあります。

また、より詳しく評価したい場合などには、「Modified Tardieu Scale変法(タールディユ・スケール)」を使用します。

Modified Ashworth Scaleよりは、マイナーです。

ネット上に詳しい情報が無かったので、評価方法等をご説明します。

Modified Tardieu Scale変法

主に、筋の伸張速度(V)と、筋反応の質(X)の2つの要素で評価します。

筋の伸張速度(Velocity to stretch )(V)

対象の関節をそれぞれ、V1〜3までの速度で他動運動します。

  • V1:(できるだけゆっくり)
  • V2:(重力に任せて関節運動を行う)
  • V3:(できるだけ早く)

V1~3の速度で、角度R1・R2を測定。

  • R1=V2(重力に任せて関節運動を行う)or Ⅴ3(できるだけ早く)の速度で抵抗感をキャッチした角度(臨床では、ほぼV3を採用されています)
  • R2=V1(できるだけゆっくり)の可動域最大角度

R2-R1 を計算し、算出された値が痙縮の程度を示す指標です。

値が大きいほど痙縮が強いことを示します。

また、値が非常に小さい場合は、拘縮を示します。

筋反応の質(X)

  • 0:受動的な動きを通して抵抗がない
  • 1:全体を通してわずかな抵抗、
  • 2:正確な角度でキャッチがなくなり、徐々に痙性を緩める
  • 3:正確な角度で生じるクローヌス(10秒未満)
  • 4:正確な角度で出現する止まらないクローヌス(> 10秒)
  • 5.:関節が動かない。

私はボトックス治療の効果判定に、よくModified Tardieu Scale変法で評価しました。

是非一度、お試しください。

深部腱反射は、筋緊張の評価ではない???

私は学生の頃、深部腱反射=錐体路障害という意味で覚えていました。

しかし、臨床に出てからは、深部腱反射=筋緊張の評価だと教わりました。そういう方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

実は、厳密にいうと、深部腱反射は筋緊張の評価ではありません。

 

深部腱反射の程度は、筋緊張に比例しています。

筋緊張が亢進している場合「痙固縮」や「可動域制限」がある場合は、反射としては表面化し辛くなります。

そのため、深部腱反射では、厳密に筋緊張は評価できません。

 

ですが、深部腱反射もある程度、筋緊張の指標になるので、Modified Ashworth Scaleなどの評価に加えて、様々な検査を行って総合的に評価するべきだと思います。

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痙縮の治療

リハビリ業界の痙縮や筋緊張の治療は、様々なことが言われています。

人の話を聞けば聞くほど混乱してしまういますよね。そんな私もそうです。

なので、痙縮の治療・リハビリは必要最低限これだけは知っておこうぜ!と思った内容を3つに激選しました。

  • 脳卒中ガイドライン2015の痙縮に対するリハビリテーション
  • 筋力増強は痙縮を増大させる?
  • 痙縮のリハビリテーションの実際

脳卒中ガイドライン2015の痙縮に対するリハビリテーション

脳卒中ガイドライン2015の痙縮に対するリハビリテーションの項目です。

  • チザニジン、バクロフェン、ジアゼパム、ダントロレンナトリウム、トルペリゾンの処方を考慮することが強く勧められる(グレードA)
  •  顕著な痙縮に対してはバクロフェンの髄注が勧められる(グレードB)
  •  上下肢の痙縮に対しボツリヌス療法が強く勧められる(グレードA)
  • フェノール、エチルアルコールによる運動点あるいは神経ブロックが勧められる(グレードB)
  • 痙縮に対して高頻度のTENSを施行することが勧められる(グレードB)
  • 慢性期片麻痺患者の痙縮に対するストレッチ、可動域訓練が勧められる(グレードB)

引用文献:脳卒中ガイドライン2015

悲しいことに、我々が行うリハビリテーション自体には、ストレッチ、ROM程度でしかエビデンスが示されず、ほとんどが投薬や服薬での治療となります。

しかし、医師と連携し、投薬・服薬後の筋緊張の効果判定や、効果持続を保つためにも、積極的なリハビリテーションが必要です。

なので、筋緊張に対する評価技術や、リハビリテーションの工夫を怠らないようにしたいものです。

筋力増強は痙縮を悪化させる???

よく臨床で、「筋力増強は、筋緊張を悪化させるから、してはいけない!」と先輩から言われたことありませんか?

実は、そんなエビデンス全くないんです。

筋力増強をしても痙縮の程度は変わりません。

むしろ痙縮を軽減させるといった報告がほとんどです。(Moriss SL:2004)(Taylar NF:2005)

 

痙縮の陰性症状として、筋力低下が含まれますので、必要に応じて、積極的に筋力増強しましょう。

痙縮のリハビリテーションの実際

痙縮に対して、ストレッチや関節可動域運動以外のリハビリテーションにはどんなものがあるのでしょうか?

実際は、これといって決まったものはありません。

 

なぜかというと、痙縮は様々なものに影響されるので、一概には言えないからです。

 

なので、問題となる痙縮が何に影響を及ぼされて憎悪しているのかを評価しましょう。

痛み?筋疲労?恐怖心?動作の効率が悪い?

それに応じてその患者さんにあったオーダーメイドのリハビリをプログラムしていきましょう。

 

私の経験ですが、恐怖心が強いケースの場合、動作練習で成功体験を重ねていくと、恐怖心が少なくなります。

それがリラックスに繋がり、動作時の痙縮・筋緊張が軽減するというケースもたくさん経験しました。

また、装具の仕様を変えたり、歩容を少しだけ意識するだけで、痙縮・筋緊張は軽減します。

なので、様々なことを患者さんと一緒に試していきましょう。

まとめ

筋緊張の種類や、痙縮について解説しました。

 

私はずっと筋緊張が苦手でしたが、用語を分類したり、知識を深めると、少しずつ苦手意識がなくなりました。

でも、筋緊張を軽減させるのは難しく、今でも悩んでいるところです。

 

本当に難しい筋緊張ですが、少しでも患者さんや療法士の皆さんにお役立てばと思います。

以上、筋緊張、痙縮のまとめでした~!

 

シロマツ
 最後までお読みいただきありがとうございました!
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