そういった疑問に答えます。
膝関節の内反、外反変形の代表的な指標で「FTA」というものがあります。
「ミクリッツ線」と混合してしまいがちですが、ちゃんとした違いがあります。
今回は、膝関節の評価に重要な「ミクリッツ線」の正常位置や、測り方、FTAとの違いについて解説します。
ミクリッツ線とは?
ミクリッツ線とは、日本語で、「下肢荷重線」「下肢機能線」
英語では、「Mikulicz line(ミクリッツライン)」または「Mechanical axis(メカニカルアクシス)」と言います。
少しややこしいですが、全て同じ意味ですので、ご注意ください。
ミクリッツ線(Mikulicz line)って?
ミクリッツ線とは、「大腿骨頭の中心」と「足関節の中心」を結んだ線のことを言います。
ミクリッツ線を引くことで体重が掛かっている線、「荷重線」がわかります。
諸説ありますが、正常な膝であれば、膝関節中心(脛骨の内側顆間隆起内側)を通ると言われています。
もし、このミクリッツラインが、膝の内側を通れば、内側にストレスが掛かり易くなるので「O脚(内反)」の状態を表します。
逆に、膝の外側を通れば、膝の外側にストレスが掛かり易くなるので、「X脚(外反)」の状態を表します。
もし、重度の変形性膝関節症で、運動ができなかったり、日常生活が送れない場合、全人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty:TKA)や高位脛骨骨切り術(Open Wedge HTO)などの手術が適応になります。
その場合、ミクリッツ線やFTAなどを基準に矯正角度を決定します。
ミクリッツ線の計測方法
当然のことながら身体を見るだけでは、ミクリッツ線は計測できません。
計測するためには、骨格でなければわかりませんので、立位でのレントゲン画像が必要です。
病院などの医療機関は、レントゲン画像を閲覧するソフトの中に、線が引ける機能があるので、それを使用することがほとんどです。
ミクリッツ線とFTAの違い
ミクリッツ線とFTAの違いはなんでしょうか?
- ミクリッツ線:「大腿骨頭の中心」と「足関節の中心」を結んだ線
- FTA(femoro-tibial angle):「大腿骨の中央を通る線」と「脛骨の中央を通る線」の重なる角度
どれも同じ膝の変形具合を見る指標なのには違いありませんが
の違いの特徴として、大腿骨の外弯変形が見られる場合、FTAの計測では難しくなる可能性があります。
「外弯変形」とは重度の内反変形の場合に、大腿骨が湾曲してしまう状態の場合です。
このように外弯変形を伴っている場合、骨の中央を通る線(垂直線)を使用するFTAの計測が難しくなります。
ミクリッツ線であれば、計測は可能です。
まとめ
ミクリッツ線について解説させて頂きました。
ミクリッツ線が理解できれば、膝のどこに荷重が掛かり、どこに負担が掛かり易いかがわかります。
しっかりと知識として覚えておきましょう!