という方に向けて、現役理学療法士が医学的にわかりやすく本気で下記の疑問にお答えします。
この疑問を解決
- 医学的論文、医学的根拠(エビデンス)を含めた膝サポーターの効果
- 膝サポーターの正しい選び方
- 高齢者へのおすすめサポーター(口コミあり)
膝サポーターとは?
膝サポーターとは、文字通り膝関節をサポートするものです。
主な機能・目的は3つあります。
機能・目的
- 膝の痛みの緩和・軽減
- 運動パフォーマンスの向上
- 保温機能
購入を検討されている多くの方は「膝の痛みの緩和・軽減」目的だと思います。
軟骨がすり減る変形性膝関節症などによる膝の痛みは、筋力トレーニングや減量などの運動で効果があるといわれています。
しかし、効果が出てくるには時間が必要ですし、何より痛みが生じるので運動する気になりません。
なので多くの方は運動を制限することで、筋力が低下や体重が増加が見られ、更なる膝の痛みを産む悪循環に陥ります。
痛くて運動ができないのであれば、膝サポーターを装着して痛みを緩和した方が、運動量が増えて膝には良い影響を与えます。
膝サポーターはこの負のスパイラルから脱出できるキッカケを与えてくれます。
膝サポーターの効果・医学的根拠は?
「膝サポーターで膝の痛みが軽減する!」なんて言われても、それって根拠はあるの?って思いますよね。
そこで変形性膝関節症のガイドラインを2つご紹介します!
ガイドライン
- OARSI策定膝OAエキスパートコンセンサスガイドラインの日整会適正化ガイドライン
- 理学療法診療ガイドライン
上記のガイドラインに膝関節サポーターに関してのエビデンス(医学的根拠)が報告されています。
ガイドラインとは?
ガイドラインとは、診療指針のことを言い、医療従事者の羅針盤のようなものです。全てが研究結果に基づいているため信頼できます。
エビデンスレベルは、5段階で分類されています。
- グレードA : 行うよう強く勧められる
- グレードB : 行うよう勧められる
- グレードC1: 行うことを考慮してもよいが,十分な科学的根拠がない
- グレードC2: 科学的根拠がないので,勧められない
- グレードD : 行わないよう勧められる
※ガイドラインで推奨されているからといって、全ての方に効果を保証するものではありません。
OARSI策定膝OAエキスパートコンセンサスガイドラインの日整会適正化ガイドライン
OARSIって?
OARSI(Osteo Arthritis Research Society International)とは、国際的な変形性関節症に関する学会で、そのOARSIの変形性膝関節症のガイドラインを日本整形外科学会が日本医療に適正化したガイドラインが「OARSI策定膝OAエキスパートコンセンサスガイドラインの日整会適正化ガイドライン」であり、非常に信頼性の高いガイドラインです。
そんな「OARSI策定膝OAエキスパートコンセンサスガイドラインの日整会適正化ガイドライン」の中で、膝関節サポーターの効果について、このように報告されています。
Grade:B 行うように勧める
軽度~中等度の内反または外反がみられる変形性膝関節患者において,膝関節装具は,疼痛を緩和し,安定性を改善し,転倒のリスクを低下させる。
膝サポーターは、軽度~中等度の膝関節の変形が見られる方において、膝関節の痛みと転倒予防に効果があるとされています。
また、エビデンスレベルは「Grade:B=行うように勧める」なので、非常に良好な成績であることがわかります。
内反・外反とは?
内反・外反とは、膝が内に反っているのか、外に反っているのかという変形している状態のことを言います。
なぜ、軽度~中等度の内反・外反変形の方には効果があって、重度の変形のある方には効果がないのでしょうか?
答えはシンプルです。
軟骨が磨り減ると、関節に隙間が生まれて、遊びが出現します。
その状態で動作を行うと衝撃が大きくなり、軟部組織が炎症を起こしたり、動作が不安定となってバランスを崩し易くなります。
膝サポーターで膝関節を固定することで安定し、痛みが軽減するというメカニズムです。
一方、膝関節の重度な変形が見られる方は、軟骨が完全に破壊されているので、関節の間に隙間はほぼありません。
ここまでくると膝サポーターなんてほぼ意味は無い状態です。
しかし私の経験では、重度の変形であっても効果があった方もいます。
最初から諦めずに一度は試してみる価値はあると思います。
理学療法診療ガイドライン
OARSIがお医者さんのメインのガイドラインであったのに対して、これは理学療法士のガイドラインです。
「膝サポーター(装具療法)」の効果に対して、このように報告されています。
Grade:B 行うように勧める
膝サポーターは、疼痛、バランス改善の効果がある。また膝外反装具は、膝サポーターよりも大きな効果がある。
ここでも「Grade:B(行うように勧める)」です。
膝の外反装具とは、膝の内反変形に対して、外反方向に固定する機能を持ったサポーターのことです。
対象は選びますが、この2つのガイドラインから
「膝サポーターは痛みの緩和が期待できる」
とされています。
本ガイドラインは、あくまで軽度~中等度の内反または外反がみられる変形性膝関節症の場合です。
膝サポーターの種類は多岐に渡り、効果は個人差もあるため、必ずしも効果を保証するものではありません。
膝の痛みで悩まれている方は速やかに医療機関に受診し、医師の指示に従いましょう。
膝サポーターの正しい選び方
膝サポーターには、スポーツ用、医療用などの種類がありますが、今回は医療用のサポーターに関してお話しています。
医療用膝サポーターを選ぶ際に重要なものは「固定力」です。
固定力が大きければ大きいほど、膝が固定され動作が安定します。
しかし、それと同時に
- 動きづらい
- 見た目がゴツくなる
- 圧迫され過ぎると血流が悪くなる
- 価格が高くなる
というデメリットもあります。
なので、膝サポーターを選ぶポイントは下記の3つをポイントに選びましょう。
ポイント
- 固定力
- サポーターの大きさ・デザイン
- 価格
膝サポーターの種類・高齢者の方へのおすすめサポーター紹介!
膝サポーターを大まかに分類しますと、3種類です。
- 保温用膝サポーター
- 支柱無し膝サポーター
- 支柱有り膝サポーター
上から順に固定力が強くなっています。
保温用膝サポーター
女性の方や高齢になると徐々に下半身の血流量が低下して、それが原因で痛みを引き落とす方も多いです。
なので、膝関節を保温することで痛みが軽減したり、パフォーマンスが上がる可能性があります。
固定力はほぼありませんが、比較的、薄いものが多く、動きやすい傾向があります。
とにかく保温したい!と言う方にオススメです。
MIZUNO(ミズノ)ブレスサーモ 膝用サポーター
良い口コミ
- 運動時に着用しているが、膝が軽くなくなった。
- 日常生活で全くずれない。裏切らない暖かさ。
悪い口コミ
- ジョギングすると少しずつズレてくる。
支柱無し膝サポーター
市販で販売されている膝サポーターのほとんどがこのタイプになります。
保温用膝サポーターよりも、膝関節をしっかりと固定でき、膝の曲げ伸ばしが楽になります。
実際に患者さんに好評だったものをご紹介しますよ!
お医者さんのがっちり膝ベルト
日本整形外科学会の整形外科専門医と共同開発された膝関節サポーターです。
通常、固定性が強くなれば膝は動かし辛くなるものですが、このサポーターは固定力がありながら、カーブカットやナイロンスプリング等を用いて膝の動きやすさを最大限まで追求しています。
生地はメッシュで通気性も良好。デメリットを言うのなら価格が少しお高目なところ。
良い口コミ
- 普段の生活で比較的緩めの締め付けでひざがカクンとならないサポートを実現してくれている。
- 強力なサポート力で、軟骨が擦れるカクカク感が全くない。
悪い口コミ
- 外出時には少し分厚い気がする。
- 思ったよりサイズが大きい気がした。
Bracoo 膝サポーター
装着し易く、固定力も問題なかったサポーターです。
とにかく安い。
思ったよりもコンパクトなので、動きやすいと好評でした。
良い口コミ
- 丸洗いもでき、便利が良い。
- 安いのに、しっかりと膝を保護してくれる。コスパが良い。
- フリーサイズで不安だったが、自分にピッタリだった。
悪い口コミ
- スポーツ時には頼りない。
- 少し分厚いので、ズボンの下からでは違和感がある。
PYKES PEAK 膝サポーター
長さがあって分厚い分、固定力が強いです。
ズボンの下からでは少しきついかもしれませんが、支柱無し膝サポーターに強い固定力を求める方は是非。
良い口コミ
- 付けたり外したりするのが楽。
- 運動が可能になった。これ無しでは活動できない。
- 3点固定なので、しっかりと固定されて動きやすい。
悪い口コミ
- フィット感とサイズ感がイマイチだった。
- サイズが小さくて、うまく巻けなかった。
支柱有り膝サポーター
支柱有り膝サポーターは側方に金属の支柱がついているので、通常の膝サポーターと比べて更に左右のぐらつきを抑える効果があり、固定力が一層増します。
膝の不安定性から来る痛みを抑える効果も、支柱無し膝サポーターと比較して高いでしょう。
でも、支柱がついている分、分厚くゴツゴツしてるので、外出での使用がメインの方や、女性の方には少し厳しいかもしれません。
支柱無しの軟性膝サポーターの固定力では足りないという方におすすめします。
特に変形性膝関節症の方に生じる「ラテラルトラスト(lateral thrust)」と呼ばれる現象に効果的な可能性があります。
これは内側の軟骨が消耗して、膝に体重を掛けた時に膝が外側に動揺する現象です。
動画で見るとこんな感じ。
膝が外側に動揺しているのがわかりますか?
ここまでくるとリハビリなどでの改善は難しいですが、支柱付き膝サポーターであれば、膝の左右のグラつきが抑えられる可能性があります。
もちろん、効果は個人差があるため、医師と相談の上で検討して下さい。
ラテラルトラスト(lateral thrust)が出現していなかったとしても、膝関節の不安定性が強い方にはおすすめです。
日本シグマックス 膝関節用サポーター エクスエイドニー
良い口コミ
- 痛医者から良い物を使用していると褒められた。
- スポーツが問題なくできるようになった。
悪い口コミ
- 分厚くてズボンの下からでは厳しい
まとめ
- 軽度〜中等度の内外反変形がある人は効果が得られる可能性が高い。
- 膝サポーターを選ぶには、固定力、大きさ、デザイン、価格を指標に探しましょう。
- 膝サポーターだけでは痛みの根本的解決にはならないので、装着しながらウォーキングや膝の筋力トレーニングをする。
膝の痛みで悩んでいる場合、インターネットでの情報のみで判断せず、専門の医師に相談をしましょう。
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